診療をしていると、「いつになったら良くなるのですか?」「いつになったら仕事に行って大丈夫でしょうか?」という質問をよくされます。これって答えることが不可能な質問なので、今日はそのことについて書いてみようと思います。
原則は私たちは未来のことを完全に予測することはできない(先のことはわからない)ってことかと思います。
何となく昨日と同じ明日が来るように思っているので、未来のこともわかるだろうと誤解してしまうのですが、人間が決めたこと(明日は何曜日か)とか、宇宙の法則に従っていること(明日も太陽は東から昇る)以外は、何が起こるかわからないのが本当のところかと思います。
でも未来のことが全くわからなくて、当てずっぽうばかりでは本当に困るので、私たちは過去のことを人類全体で共有し、過去を参考にしながら未来を予測します。その手法を用いて行うことを科学と言い、特に人間に対して行うことを医学と呼んでいます。私たちは当たりそうなことを積み重ねていくことで、予想の精度を上げていきます。この辺りが陰陽師と違うところですね。
そこで大切なのは、もし絶対に間違えないことしか許さないとすると、そもそも一歩も進んでいかないので、95%正しいことを「正しい」と決めて、それを頼りに前に進んでいくわけです。科学的に正しいことには、最大限5%の間違いが混ざってくることを忘れてはいけないのです。
ですから私が診療方針を決める時にも、その決断には最大5%の誤りがある。この5%というのも、全ての前提条件が正しい時に5%まで小さくなるので、実際には20%程度は誤りがあるということを念頭にして方針を組み上げていきます。未来の予測についても、何となく出来るけど、それは完全からはかなり遠いものになります。
今の予測は100%ではなく、今後も100%正しい予測にはならない。このことを上手に共有していければ、きちんと健康に過ごせると思いますので、ご安心していただきたいです。
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