80代男性、糖尿病で通院中です。コントロールは良好ですが、今回は動悸があるとのことで心電図をチェックしました。
「そうですね、心電図には違った形の波形が記録されていますね。診断は心室性期外収縮になります。」
「はい。」
「もともと心臓の機能は悪くありませんし、この形の不整脈は心配しなくて良いことがわかっています。」
「わかりました。実は50年間の昇進試験の健康診断でも同じ不整脈が出ていました。」
「そうなんですね。」
「健康診断で何かひっかかると昇進できないのですが、その時の医師がもみ消してくれて、私を守ってくれました。」
「そうなんですね、正しいことをしてくれたんですね。本当に良かったですね。」
心室性期外収縮は今でこそ基本的に無害な不整脈で、過度に抑制すると返って良くないことがわかっていますが、50年前にはそのような知見は無かったと思います。
当時の医師にとっては、勇気のいる決断だったと思いますが、それが患者さんの将来を救ったのだと思います。果たして私だったら同じ様な決断が出来たでしょうか。
基本的にわからない未来のことを予測する責任の重さを強く感じました。
コメントをお書きください