70代男性、基本的にほぼ初診の方でした。他の施設で糖尿病の治療を受けていたのですが、この度自己注射をする治療に変わり、それについてのセカンドオピニオンを求めて来院されました。
「セカンドオピニオンですね、どんなことをお聞きになりたいのですか?」
「何か、突然に注射を始めるって言われた気がして、今ひとつ腑に落ちないんです。」
HBA1cの値を見ると、9%を越えていて、あまりよくないようです。それ以外も何種類かの糖尿病薬が使用されていました。
「そうですね、今の状況を見ますと、HBA1cが9%を越えているので、糖尿病の合併症発症のリスクはかなり高い状況です。何とかしないといけないですね。」
「はい。」
「その他の薬を見ると、私もよく使っている薬の組み合わせなので、私も治療方針の変更が必要だと思います。」
「そうですか、ではどうしましょう。このまま診てもらえませんか?」
「そうですね、せっかく新しく注射薬を出してもらって、その使い方もスタッフから丁寧に教えてもらったばかりなようなので、もう一度その施設に戻って、効果の方を確かめてみてはいかがですか。」
「そうですか、だめですか。」
「だめじゃないんですけど、一度は戻られてはいかがかと思います。そこで何か腑に落ちないことがあったら、またいらしていただきたいです。」
「わかりました。せっかく決心してきたんだけどな。」
時々、施設を変わりたいとのことで来院する方がいらっしゃいます。あまり前の施設のことを話したくない方もいらして、そんな場合には話を聞かずにお受けすることが多いです。
私は医療機関が成長するためには、患者さんが真摯な意見を言っていただくことが必須だと思っています。彼の話はとてもわかりやすく、聞きやすかったです。なので、彼の意には反して一度前の施設にお帰りいただくことにいたしました。
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