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娘たちにはもういつ死んでも悔いないって言ってるの


70代女性。高血圧で受診していただいています。
いつもはとてもお元気なのですが、今日はどこか思い詰めた表情で、
「娘たちにはね、もういつ死んでも私の人生に悔いないって言ってるの。」
「ん!?どうしてそんなこと言うの?」
「だってこの前、循環器の病院で僧帽弁不全症って言われたでしょ。私、心臓病なんだもの。そうなるともう長くないのかなって思って。」
そうでした、近くの総合病院の循環器内科で、中等度の僧帽弁閉鎖不全症があり、年に一度のエコーのフォローアップになったのでした。
「あのね、僧帽弁閉鎖不全症はお家のドアが閉まりにくくなった状態なのね。全然閉まらなかったら寒くて仕方ないから大工さんに直してもらわなきゃならないでしょ。そうさっさと手術しないとダメなのよ。でもね、ちょっと閉まらないくらいなら、少し隙間風は入るかもしれないけど、普通に暮らせるでしょ、そう大丈夫なのよ。」
「私の場合は?」
「うん、年に一度エコーで見ておけばいいってわけだから、しばらくは大丈夫ってことだね。」
「そうなのね。先生の顔を見ると安心するわ。」
心臓病と言われるとみなさん気が動転してしまうと思います。でも、病気とその程度によって将来は全く様々です。その辺りをうまくお伝えできたら良いと思っています。