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心に残っている患者さん(Ⅰ)


K.Nさん 大正15年生まれ 男性
もう25年以上も前から(以前の勤務先の時から)通ってきていただいていました。
米農家をやっていらして、私の所に通って来てくれている頃には、息子さんの代に変わっていらっしゃるようでした。
もう20年以上も前でしょうか、きらら397などの北海道の新しい品種の米が出てきて、北海道米も美味しくなってきた頃の話です。
「北海道の米も美味しくなってきて、良かったですね。」
と私が言うと、
「米なんて、そんなに上手くなくてもいいんだ。」
と、なにげにおっしゃったことを鮮明に覚えています。
言い方も頑固な年寄りが皮肉っぽく言うのではなく、米(主食)を作ることの意味をしっかりとかみしめていらっしゃるようでした。
今年の米不足、彼ならなんて言うのかなって思いました。
ちなみに、私が開業する11年前に
「今度の病院は今の場所より遠くなるけど、しばらくは僕がちゃんとしていられるか、通ってきて見張っていてくれませんか。」
と彼にお願いしたのも忘れられない思い出です。